iPodを試聴してみる


〜iPod2台の簡単なレビュー記事      


iPod 3G(左)とiPod 4G(右)。下はThinkPad X22
▲左が3G、右が4G。下にあるのは撮影用土台代わりのThinkPad X22。
 上の写真のごとく、我が家に突然2台のiPodがやってきました。単 に 安かったので取りあえず買って、使う方を残そうという魂胆なわけなのですが。今ま でiPodには全く興味がなかったので、購入する段になって初めてバリエーションや世代の違いを理解したというほどのiPod初心者ではありますが、無謀 にもレビューを書いてみようというわけです。

 今回使ってみたのは第三世代(以下3G)の10GBモデル(M8976J)と第四世代(ClickWheel・以下4G)の20GB(M9282J)と なります。どちらもDockは別売らしいのですが、何故か購入時両方にDockが付属してきてしまい、台数分きちんと揃っている状態です。

 

 外観・操作性


 特に知識が無くても、デザイン上の違いはすぐにわかりますね。ディス プレイとホイールのみのシンプルな方が4G、ホイールの上にボタンが並ぶのが3Gと なります。4Gの方がスッキリとまとまっていますが、3Gの方はボタンにオレンジ色のバックライトが仕込まれていて、これが結構格好良いんですよね。デザ イン面では一長一短というところでしょうか。
 操作体系はどちらもホイールを中心としています。4Gの方はClickWheelという名前の通り、ホイール部を選択したい操作したい方向に押す (Clickする)システムを採用しているのですが、私のような感性が古い人間には、3Gのようにボタンが独立している方が使いやすく感じられます。た だ、4Gのホイールの方が感度が適切なのか、カーソルが思い通りに動いていくれるという印象を受けました。恐らく操作性からして従来の携帯オーディオプレ イヤーとは一線を画した、直感的なものを意識しての改良なのではないか、とは思うのですが。

 iTunes


 iPodを語る上で欠かせないのは、やはりこのiTunesではない かと思います。実はiPodを入手するかなり前からiTunesは使っていて、普段 他の機器で聴くためのmp3ファイルは、ほとんどこのiTunesで作っていました。
 このソフト、実は特に操作性が良いとは思わないのですが、採用しているCDDBが優秀で、曲情報入力を手動で行う必要がないというのが大きな魅力です。 今まで使ってきてタイトルが表示出来なかったのは、いわゆるブートレグ盤だけでした。PCゲーム「英雄伝説VI 空の軌跡」に添付されていた音楽CDまで きちんと表示された辺りには、もはや驚きを感じました。
 ただ、本体同様、この操作性は私の感性には合いません。個人的には「転送」ボタンのようなものを用意しておき、転送内容を一つずつ選んで転送が可能な方 が有り難いです。ソフトの動作が安定していれば、という但し書きが付きますが、その辺はSONY製品添付の「OpenMG Jukebox」の方がむしろ解りやすかったです。

iTunes 4.7
▲mp3データの作成には便利なiTunes

 肝心の音質は?


 他社のHDD内蔵携帯オーディオプレイヤーを持っていれば良かったの で すが、生憎USBメモリ型も含めて手持ちがありませんので、下記の2台との比較と なります。
  • SONY CLIE PEG-NZ90(PDA)
  • SONY MZ-N1(NetMD Walkman)

先に断っておきますが、こう見えても私はアンチSONYです。ただ、CLIEは唯一の日本語版PalmOS搭載PDAである関係上、複数台所有してはいま すが。MZ-N1の方はあまりにも安かった+MDというものを使ってみたかったという理由で買ったもので、決して積極的な選択ではありません。

 ソースについては原則的にiTunesで作成した160kbpsのmp3ですが、NetMDではmp3を再生出来ませんので、同一のソースをSPモード (ATRAC)・LP2モード(ATRAC3)で作成した上で再生しています。なお、NetMDのデータ転送はMZ-N1ではなく、PC内蔵の KENWOOD MDU-PC(H)で行っています。また、ヘッドフォンはAudioTechnica ATH-CM5を、スピーカー試聴時はONKYO P-308+SANSUI AU-α707DRに接続されたSANSUI SP-50・YAMAHA NS-10Mをそれぞれ使用しています。

 ソースは以下の3枚を使用しました。
  • CHICAGO 17 / CHICAGO
  • Trial By Fire / JOURNEY
  • I've 04 LAMENT / I've

 まず、最も意外な結果となったのは、MZ-N1でした。LP2は言うに及ばず、SPですら音質ではこの中の最下位でした。一応オーディオメーカーである SONYの製品としてはあまりにもお粗末な結果です。全体的な音質はカセットテープ時代の格安ウォークマンに通じるものがある(バランスは悪くないが、レ ンジが狭く、力感に乏しいため音が薄く感じる。また一見良さそうに聴かせるために、妙な強調感がある)のですが、それに加えてヴォーカルの声の質が変わっ て聞こえる傾向がありました。実はこれはMDが発売され た頃から全く変わっていない傾向で、ATRAC系の圧縮技術の問題点ではないかと思います。決して音質に優れているとはいえないATRACにこだわり続け るSONYの姿勢は、疑問視せざるを得ないところです。
 残る3台はソースによって優劣が変わります。まず、打ち込み系のI'veでは、オーディオ機器ではないPDAとは思えない程、PEG-NZ90が健闘を 見せます。同じSONY製でありながら、MZ-N1よりレンジも広く、低域方向のゆとりもあります。iPod G3はヴォーカル部分は良いものの、低域・高域両方の解像度が低く、キレの悪い音となってしまいました。iPod G4はG3の弱点はかなり改善されていますが、代わりに特に低域方向にアクセントが加えられる印象があります。電子楽器の鳴り方もPEG-NZ90と比較 すると少々地味な印象を受けます。
 しかし、CHICAGO17(このアルバムはドラム音のみ打ち込み)ではこの印象が大きく変わり、ヴォーカルの生々しさや楽器の質感など、明らかに iPod 4Gがトップに立ちます。iPod 3Gもこの系統のソースではかなり良好なのですが、やはりローエンド・ハイエンドの両方で解像度の低さが感じられます。ただ、4Gで感じられる、特に低域 方向のアクセントが無く、素直な鳴り方であることには好感が持てます。PEG-NZ90はバランスは良いのですが、ヴォーカルの力感がやや乏しく感じら れ、生々しさもあまり感じられません。
 そしてTrial By Fireになると、CHICAGO17よりも顕著に上記の傾向が表れます。JOURNEYのサウンドはある意味ヴォーカルの情感が生命線となりますから、 ここでPEG-NZ90はiPod2台に差を付けられます。3Gと4Gで比較すると、3Gの方が特性的にはフラットな印象を受けますが、やはり解像度・パ ワー感・臨場感など、多くの部分で4Gが上回っています。
 

 結論


 同じiPodでも、僅か一世代の差で想像以上に実力差があるようで す。 価格差が少なければ、素直に新しい方を買うべきと言うことでしょうか。ただ、今回の 例では、実は3Gの購入価格は4Gの半額以下なのです。確かに外観やバッテリの状態は4Gはかなり良好、3Gは擦り傷多数で欠品も多少あったりするのです が。敢えて明記はしませんが、今回の購入価格でという条件があれば、「買い」といえるのはむしろ3Gの方といえるのかもしれません。
 また、オーディオはあくまで付加機能であるCLIE PEG-NZ90も、意外な程オーディオプレイヤーとしての高い実力を持っていることも見逃せません。同じSONYのMD Walkmanよりも優秀な結果であるのには、素直に驚かされます。上の試聴結果では少々厳しく書いていますが、逆に言えばMZ-N1とは違い、「批評す るに値するレベル」であったということです。元々はかなり高価な製品でしたが、現在は中古価格もかなり下がっていますので、200万画素デジカメ+mp3 プレイヤー+ヴォイスレコーダ+PDAとして考えれば意外とお買い得です。但し、どの機能も中途半端であることは否定出来ませんが。
 なお、iPodはPCとの接続をIEEE1394又はUSB2.0で行いますので、外付けHDDとしてもまずまずの実力を持っていることを忘れてはいけ ません。3Gの方の購入価格なら、外付けHDDとして考えてもそう高額ではない程度ですので、データの持ち運びを考えるユーザーにもお薦め出来ます。他社 のHDD内蔵オーディオプレイヤーは大抵USB2.0のみですから、HDDとしてみた場合の魅力はIEEE1394も備えるiPodがトップでしょう。 1.8"HDDですから高速という程の速度は出ませんが、実用十分な速度ではあると思います。
 

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